2021年01月10日

日々是好日

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お茶の世界(茶道)では、ちょうど今は初釜の頃でしょうか。

冷たい空気に気持ちが引き締まる。ちんちんとお釜にお湯が湧く。お水を足すといったんお湯も静まってしーんとした中に茶筅の音だけが聴こえる。お茶の佳い香り。「さ、さ、どうぞ炭の景色を拝見して」と先生に言われてもなんのことやらさっぱりわからず、慣れない着物に足もしびれて、あらら、ころりんって、なんだかとても懐かしい想い出です。


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2回目の緊急事態宣言とやらもだされてずっとステイファームの毎日、思い切ってAmazonプライム30日間無料に登録してみました。1ヶ月だけのつもりですがここに登録されているビデオが無料で観られます。(え?みんな当然知ってる?今頃始めるなんて遅すぎ? 笑)

というのも、ずっと観たいと思っていた映画『日々是好日』を観るためです。原作の森下典子さんの『日々是好日』を読んでからずっとずっと観たいと思っていた映画です。(新潮社のページでは森下さんの「奇跡の四十年 『日日是好日』(新潮文庫)その後」のエッセイが読めます)

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ほんっと〜にいい映画でした。本の世界観をそれ以上に映像化されていて、観た後にしびれて動けなくなっちゃうくらい。(いや、足じゃなくて心からもうしびれちゃうんだから)DVD買って何回でも観たい。

森下さんとお茶の幸せな関係ももちろんなんだけど、床の間のお軸(掛け軸…お茶の世界ではお点前の手順よりももしかしたら重要かも)も素晴らしいし、床のお花も花器も「あぁ、この花の季節だったら…」とお庭の景色(そのとき共に咲いている花とか緑の勢いとか虫とか空の雲とかも全部ひっくるめた空気感)がまぶたの裏に浮かんでくるようでした。先生のお道具(お茶碗とか棚とか)も「映画の小道具として寄せ集められた感じ」は全くなく、先生が感性?美学?をもってひとつずつそれぞれの思いをこめてお選びになったような世界観の伝わってくるものでした。

わたしが茶道を習ったのは短大時代の2年間だけですが、ずっと続けられたら良かったな。

学校には立庵という民家を譲り受けた形のお茶室があって、お庭もお茶室もちょうどこの映画のようでした。お稽古の前に先生が庭から茶花を摘んで床の間に活けてくださって、お軸の説明をしてくださって、それからお稽古が始まります。お軸は禅僧のものが多く、簡潔なんだけど奥の深い難解なものが多かったな。でもそのあとオトナになる過程で、ああ、これはお茶室で先生がお話してくださってお軸の言葉だわ…と、再び出会うこともありなんだか不思議な感じです。多感な10代終わりにこういう時間を過ごせたことはずっとわたしの生きる軸になってるのかもしれません。

映画の中にコミカルな合同のお茶会のシーンがありましたが、実際にあのような経験もしているので大笑いしてしまいました。何席も設けられていて(茶室が何ヶ所かあって、それぞれに主が異なるので、違った趣向を楽しめる)事前に先生から「○○先生のお席は勉強になるからぜひ行きなさい」と言われて行ったお席はギュウギュウ詰めで、きれいなお着物のほぼ女性ばかりがぎっしり…。お正客の場所のみぽっかり空いて…。でもそののちにみんなにおされてしぶしぶそこに座られた方も実はすごい方で、亭主とのやりとりは奥深い教養を感じさせるもので…、って懐かしい想い出です。。

あー、学生時代の想い出とリンクしているからなのかな。あるいは著者と同様にそれからン十年を生きていろんなことを経験してきたからかな。もう涙でちゃう。

本当にいい映画です。雨の日には雨を聴く。全身で今を感じて生きる。こういう時代にこそぶれないで生きていくために必要な日本の心(禅)を伝えている映画だと思いました。

Youtubeの映画予告編はこちらから → 

写真はいずれも日々是好日公式Facebookサイトからお借りしています

                         Asako
posted by tomato at 08:54| Comment(0) | あれこれ
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