2019年02月04日

アテネのトマトソースの歴史

先日は札幌のたいへん立派な会場で、テンパりながらもなんとか発表してきましたヨ♪

他の方の大変立派な取り組みの発表のあとではとても恥ずかしかったけれど、実力相応の内容なのでしかたありません。(立派な業績はないのでしかたない  (^^;)でも、まあ、振り返ってみればそれなりに歴史もあって、素人農家のおっかちゃんがよく途中であきらめないでがんばってきたものだと思いました。

今日美花夢さんに行ったら「あさちゃん、発表の報告、まだ(ブログに)でてないわよ」って言われちゃったので、ここでも発表しまーす!

写真も多く、長くなってしまったので、ご興味とお時間のある方は「続きを読む」をクリックして進んでくださいね。(^^)



−−− 発表の内容 (全部伝えきれなかったかも)−−−

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わたしたちは新規就農で2006年に下川町に就農しました。新米農家になって最初のころはトマトの気持ちもわからず、環境もととのっていなくて大量の規格外品ができました。生産するトマトのうち1割くらいしか出荷できず、残りの9割は規格外になっていました。(フルーツトマトは高級野菜なので基準も厳しいのです)

地域のトマト農家の先輩に出荷量を聞かれて正直に答えたら「あさちゃん、それ、ゼロが一個足りないんじゃない?」といわれたくらい、ほんのちょびっとしか出荷できませんでした。

上の写真は加工原材料としてトマトジュース工場へ出荷するトマトの写真です。当時フルーツトマトの秀品として出荷するのと、加工原材料として出荷するのでは10倍くらいの開きがありました。

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フルーツトマトのつもりで手間も経費もかけて育てて加工原材料として出荷していては、いずれ破産してしまいます。この規格外品をなんとかしなくては…と思い、看板をだし、ノボリを立てて納屋でも販売しました。

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それだけではさばききれないくらいの大量の規格外品のトマトがあったので、自宅のキッチンでトマトソースも作りました。

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最初はこんなおもちゃのようなフードプロセッサーで加工していました。(この機械3000円くらいなのですが、なにしろ収入がほとんどなかったので、ものすごく悩んで購入しました)

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たくさんできたトマトソース、ケチャップやビザソースは友だちに配りました。ちょっといたずら心をおこして、こんなラベルも印刷したりして楽しんでいました。結構人気がありましたよ。ラベルの効果なのか、お金をだしても買いたいと言ってくれる友人もいて、ここがわたしがこの道にはまってしまった原点です。

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トマトを栽培するようになって2年後から、農協さんの共同選果が始まりました。

フルーツトマトとして出荷するには樹で完熟させるのではなく、オレンジ色くらいで収穫します。共同選果で基準に満たなかったトマトは、販売してもらえず再び農家に戻されます。今でこそ農協さんも努力して、糖度のランクごとに価格や売り先を変えたりして、なるべく多く販売できるように、返品されるトマトが減るようにがんばってくれていますが、共選最初の年はBrix値8度未満のものは全量返品だったので大量に戻されてしまいました。

そしてその返品されたトマトは完熟で収穫したものではないので、加工原材料にもならず、ただ廃棄されるのみでした。

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どこの農家でも大量の返品トマトを抱えて困っていました。そこで軽い気持ちで地域のトマト農家の先輩方に「一緒にケチャップ作らない?」って声をかけたら10人以上のおかーさんたちが集まってくれました。そして元小学校の給食室を借りてみんなでケチャップ作りをしました。

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けっこう好評だったので思い切ってみんなに「販売もやらない?」って誘ってみたのですが、こちらは不発でした。販売するとなると責任がついてくるからです。それでも一人だけ「いいね!やろう!」と言ってくれた人がいて、それが新規就農の先輩のヨーコさんです。ここからヨーコさんと二人三脚のケチャップ作りが始まります。

元小学校(農村活性化センター おうる)の給食室から農産物加工研究室へ場所を移して、ずいぶんとケチャップを作り研究しました。

でも町の施設で作ったものは販売できません。当時は営業用の製造は禁止されていたのです。他地域では(例えば隣の名寄市では)公共施設でも営業用の製造をしているグループもいます。なんども役場に足を運び、農政課や町長さんにお願いしても「販売用の製造をするなら、自分たちの工房でやってください」の一点張りでした。

もしも…町の施設で素人の作ったトマト加工品が何か(食中毒とか異物混入とか)おこしたら、町のトマトジュース工場に風評被害があるといけないから、というのが主な理由でした。

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あきらめきれないヨーコさんとわたしは町のクラスター推進部のもったいないプロジェクトに手伝ってもらって、商品化に向けてがんばります。上の写真は、タンノさんが美瑛町で委託生産をしてくれる工場を探してくれて、見学に行ったときのものです。

この工場はソース製造業の許可をとっているので、わたしたちのトマトを持ち込んで、わたしたちのレシピにしたがって製造してくれて、それを販売することができます。(もちろん委託費用がかかります)

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そうしてできたのが「フルーツトマトのケチャップ」です。

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町内のお店屋さんにおいてもらったり、東京や札幌のアンテナショップ、近くの道の駅などにおいてもらったり、アイスキャンドル祭りでも販売しました。

わたしもヨーコさんもシュフなので、販売するよりも買う立場の方が歴史が長く「あんまり高いと買えないわ」とワンコイン 500円で販売したのですが、あとで委託生産の費用や輸送費を考えると大赤字でした。(-_-;

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それから原価計算のやり方を教わって、流通のこともお勉強してできたのが「しあわせケチャップ」です。

こんなたいへんな思いをしても、たいした儲けにならないどころか、赤字ギリギリ(というか人件費もでないしいろいろ持ち出しているからやっぱり赤字…)なのに、なんでこんなことを続けるのかとよく聞かれました。「それはやっぱり…自分たちが一生懸命作っているトマトが捨てられてしまったらかわいそうだから、かな…」と返答すると、「あなたたちの(農場の)トマトはそこまでやってもらって本当に幸せだね」と言われ、そのあたりの経緯から「しあわせケチャップ」と名付けられました(素敵な名前の名付け親は、当時クラスター推進部のもったいないプロジェクト担当ヒラノさんです)

クラスター推進部が関わってくるとなると、わたしたちのトマトだけというわけにいかず、農協さん経由で「みんなのトマト」を材料に使います。しあわせケチャップを作っても規格外品はそんなにたくさん消化できるわけではありません。「みんなのトマト」の規格外品、もっともっといっぱいあります…。どうしよう??

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次に考えたのが、(町外の工場に委託して)ソースに加工したものを売るのではなく、町内のおかーさんたちみんなが作ったらどうだろう?ということでした。(委託生産だと経費の大部分が委託費になってしまって、さらに流通費用も考えると、いったいわたしたちはなんのためにソース作りをやっているのだろうと思う程だったのです。)おかーさんたちが作れば、委託費用もかからず安価にできて、規格外品もたくさんはけます。きっと家族にとっても、買ったケチャップじゃなくておかーさんが作ってくれたケチャップは特別なものになると思ったのです。

そこで農産物加工研究室に、トマトを裏ごしする機械を導入してもらえるように、お願いしました。それがあればみんなももっと気軽に加工できます。でもまた役場で「一人二人の要望で町の予算を使うわけにはいかない」とつっぱねられたので、お友だちに声をかけて署名をたくさん集めて役場にお願いしました。熱く語って回ったので、全町民の7%くらいの署名が集まり、予算をつけてもらえることになりました。

実は欲しいものは裏ごしする機械だったのですが、それはジュース工場の奥で眠っているものを貸してもらえることになり、あわせて回転する羽根のついたお鍋を買っていただけました。これは今まで6〜8時間くらい熱い思いをしながらかき混ぜていたのを、代わりに自動でやってくれる便利なお鍋です。

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せっかく導入していただいた機械なので多くの方が使えるように、と町民向けにケチャップ作り教室を開きました。3回くらいやって毎回満員御礼でした。(述べ50人くらい参加してくれたと思います)トマトが煮詰まるまでの待ち時間に(お鍋が自動でかき混ぜてくれるので)ふだん話す機会のない町のおかーさんと農家のおかーさんたちとが交流するのがとても楽しかったです。町のおかーさんの手作りお菓子をごちそうになったり、農家のおかーさんの自家製漬け物をつっついたり、これをきっかけに直接農家に野菜を買いに行くような関係もできたようです。

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もちろん自家用の保存食であっても、何か事故があってはいけません。農業普及改良センターのテラシマさんに来ていただいて食品衛生の講習会をしたり、ケチャップ教室でも毎回注意ポイントの説明をきっちりとお伝えしました。

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この頃はヨーコさんと東京に試食販売にいったり、テレビの取材もしていただいたり、新聞にもずいぶん載せていただきました。

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そうこうするうちにヨーコさんが体力的にちょっと自信がなくなってきて、わたし一人になってしまいました。これからどうしよう??とものすごく迷っていました。ちょうどそのタイミングで前の農政課長さんが定年になり、農産物加工に理解のある新しい農政課長さんに変わりました。

農産物加工研究室で販売用の製造許可を取ることができるようになったのです!

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これは「やれ!」という神様の?運命かしら…と思って、一人でもがんばって作ることにしました。というのもわたしのソースを応援してくれる人たちが少なからずいるからです。応援してくれる人たちがいなかったらとっくにやめています。(^^;

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一人で製造するということならうちのこだわりのトマト100%で作ることができます。(小さい声で言いますけど)せっかく農薬を使わずに、味にこだわっているトマトだから、本当のことを言えばほかのみんなのトマトと混ぜて欲しくないです思いつきで、ピザソースを作ってみるのも、おうどんとコラボレしたり?なんでも自己責任で自由に作ることができます。

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そうして3年前にできたのが、この つぶとま・こしとま です。今年から食べきりサイズの ぷちつぶ・ぷちこし も作っています。

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もっともっと本気でトマトソースに取り組むには、公共施設だと困るシーンが増えてきました。

農産物加工研究室のお鍋は大きくて一度に何十キロも煮込めるのですが、最近はトマトの栽培も上手になってきて、規格外品がとても少ないのです。大きな鍋に一杯分を貯める間に最初のほうのトマトが悪くなってしまいます。こまめに作ろうと思っても農産物加工研究室は4時間でいくらという料金体系なので、少しだけ製造するには経費がかかりすぎます。(営業用の製造は、町民利用の5倍の料金設定になっています)

もちろん公共施設なので、農作業のあと深夜に作ろうなんていうこともできません。(ははは、自分が過労死しないための歯止めをなくしてしまっていいのか… なーんて 笑 冗談です。適当に休みながらやりますっ)

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というわけで思い切って、六次産業化の認定を受けてお金を借りて、自前の工房を持つことにしました。六次化の認定を受けると無担保で融資を受けられる他、いろんな分野の専門家のアドバイスを受けることもできます。

実は工房ができてまだ半年もたっていなくて、実績とよべるようなものはまだ何もありません。それどころかお鍋の材質や熱源が変わったことにより、今現在ややうまくいっていない部分があります。でも明後日(フォーラムの翌々日)食品加工の専門のプランナーさんが来て相談に乗ってくれることになっています。(解決しました!)

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また、六次化の認定を受ける過程で細かな計画を立てていくのですが、具体的な数字を積み上げていくうちに「わたしにできるかしら…」から「やるんだ!」という強い意思に変わっていくことができました。

今回フォーラムでお話させていただく機会を得て、久しぶりに昔の写真を引っ張りだしてみていたのですが、夢は「みる」ものでなく、「やる」ものなんだな〜と思いました。自分で行動をおこして、叶えるものなんですネ♪

posted by tomato at 19:34| Comment(0) | 料理・保存食
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